米米CLUB「OPERA BLUE」ほか~ 戸川利郎

【1996年春】

米米CLUB「OPERA BLUE」は、彼らにしてはいつになくストレートなライブ作品だ。メンバーチェンジ後の初のツアーから1995年10月の横浜アリーナでのコンサートを収録。あの手この手で徹底的に観客を楽しませる内容は相変わらずエネルギッシュで、ビデオは正攻法でその模様をとらえる。その安定感は、この突然変異のようなグループがついに王道を見つけたことを伝えてくれる。

ジャクソン・ブラウン「ゴーイング・ホーム」は力作だ。MTVのアンプラグド・ライブの形式を借りたライブを中心に、古い友人であるドン・ヘンリーやボニー・レイットなどのミュージシャンの貴重なインタビューがはさみ込まれている。約25年に及ぶ活動のなかで、数々の名曲を発表し、音楽を通じて多くの人に精神的な影響を与えてきた。彼の歌はある種の私小説とも言えるものなのだが、開き直ることをしないその作風は初期のものであっても今、心を打つ。一方で、必要以上にナイーブだと思われてきた男が、親友のギタリスト、デビッド・リンドレーと話す場面での笑顔は胸のすく思いがする。現代アメリカのひとつの顔がここにある。

「イン・ザ・パーク」は、アニー・レノックスが6年ぶりにアメリカで行ったコンサートを収録。少女時代からはぐくんだ音楽の夢をいまだに大切に守る姿勢が愛らしい。良い年の取り方をした彼女の声が素晴らしい。


戸川利郎


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